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そのひな形、大丈夫?
COLUMN

そのひな形、大丈夫?

契約書が大切だと言うことはよく聞く話だと思います。
ただ、私が相談を受ける際によく見るのが、「ひな形」をそのまま使っているというパターンです。
実は、ひな形をそのまま利用するのは非常に危険です。
なぜか。
まずは、ひな形がどのようなものかを知っておいていただくことが重要です。

ひな形とは?

多くのひな形は中立な立場で書かれています。
契約を結ぶとき、当事者同士は、お互いに対立する立場に立つことが多いです。売買契約であれば、売主と買主。賃貸借契約であれば貸主と借主。
どちらかが得をすれば、他方が損をするという関係性です。どちらの立場に立つかによって、それぞれの条項について、有利な書き方、不利な書き方があるわけです。

ところが、ひな形の条項は、中立の立場であることが多いため、必ずしも自分に有利ではないのです。また、ひな形自体がどちらかに有利に作られている場合、自分に不利なひな形であることもあり得るのです。

ひな形を使う時の注意点

そのため、そのまま使うのではなく、一つ一つの条項について有利かどうかをチェックする必要があります
これをしていないと、相手にとって有利なひな形を使ってしまうという笑うに笑えない状態になってしまうこともあるのです(相手としては、「なんだかうちに有利に作ってくれたな、ラッキーと思われるだけで、何も指摘がないことが多いです)。

しかも、ひな形においては、条項は一般的なもののみしか盛り込まれていません。これからやろうとしている取引に独特の事情はまったく考慮されていないわけです。
口頭で約束した事情も、しっかりと契約書に記載していないと、あとから「知らないよ」と言われてしまえば、それを証明することは至難のことです。

また、複数のひな形のうち自分に有利な部分だけをつなぎあわせるする人もいますが、それでは、つぎはぎだらけの一貫性のない契約書になってしまって、無効になることもありえますので、注意が必要です。

しっかりとした契約書を


契約書は、お互いに合意したことを書面に残し、後日、「言った言わない」という争いをなくすために作ります。

契約を結ぶときは、お互いに前向きになっているのでいいのですが、後になってから、「○○ということを約束していましたよね」と言っても、通用しないことが多いのです。

勝負は、契約書を結ぶまで。結んでしまえば、その契約書に書かれていることに拘束され、書かれていないことを後から追加することは難しい。これをよく念頭に置いていただくことが重要です。

WRITER

小倉 悠治

弁護士・経営心理士

小倉 悠治

Yuji Ogura

2004年、東京大学教育学部 卒業。2007年、慶應義塾大学大学院法務研究科 修了。2018年3月、小倉悠治法律事務所 開設。2018年4月~ 2019年3月、金沢弁護士会 副会長。
弁護士資格のみならず、経営心理士・キャッシュフローコーチの資格を有し、法務のみならず労務、財務も含め心理面まで見据えたサポートを得意とする。「社長の社外幹部」として企業の成長と発展に貢献。

小倉悠治法律事務所

https://ogura-kigyohoumu.com

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