企業が成長することで社会がよくなるような仕組み作りを
INTERVIEW

企業が成長することで社会がよくなるような仕組み作りを

河上さんに、一般社団法人SDGs支援機構の取り組みについてじっくり聞きました。
中小企業がSDGsを取り入れることのメリットとは。


一般社団法人 SDGs支援機構

河上 伸之輔

Shinnosuke Kawakami

【経歴】

証券会社、M&Aコンサルティングファームを経て30歳で起業。
『誰もが挑戦できる社会を創る』をビジョンに、コワーキングスペース、クラウドファンディングサービスの運営を行う。複数の事業を立ち上げ『世界で2番目においしい焼きたてメロンパンアイス』は全国フランチャイズ展開を果たした。
中小企業のSDGsの実践を支援する為に一般社団法人SDGs支援機構を立ち上げ、『SDGsジャーナル』を運営するともに全国で講演。中小企業のためのSDGsコンサルティングを行っている。

【企業情報】
SDGsジャーナル
https://sdgs-support.or.jp/journal/

企業が成長することで社会が良くなるような仕組み作り

前川: SDGsとはなんですか?

河上: SDGsとは、Sustainable Development Goalsの略で、日本語にすると「持続可能な開発目標」と言います。国連で採択された、世界中で達成するべき目標です。2016年から2030年を1区切りとした行動計画で、その目標が17種類あり、細かく言うと169のターゲットに分かれます。カラフルな記号を見たことがあるかもしれません。世界中色々な言語がありますし、文字を読めない人もいますので、17の目標それぞれを記号で表すことで、誰が見ても分かりやすいようにされています。

前川: なるほど。

河上: SDGsには「誰一人取り残さない」という大きなテーマがあります。SDGsは世界中の人全員で取り組まなくては到底達成することができないのです。特徴は、国だけでなく企業が取り組まなくてはいけない課題があることです。寄付や途上国支援と誤解されることが多いのですが、ゴールを一つ一つ見てみると、先進国の企業が取り組まなくてはいけない課題もあります。

前川:ボランティアのような活動なのですか?

河上: ボランティアかと言うとそうではありません。「持続可能」という点では、誰かの犠牲の上で行われる活動は続かないじゃないですか。例えば、企業が利益を上げその一部で社会貢献するというのは続きにくいのです。重要なのは、事業活動の中に社会が良くなる仕組みを組み込むことで、企業が成長することで社会が良くなることに繋がるようにすることです。

前川: なるほど、そういうことなのですね。

「誰もが挑戦できる社会を創る」という理念はずっと変わらない

前川: SDGsへの取り組みのきっかけはなんだったのですか?

河上: SDGsとの出会いは、僕が金沢青年会議所に所属していたのがきっかけです。SDGsが国連で採択されたのが2015年9月で、2016年から進めていこうと決まりました。そんな中、金沢青年会議所で2015年11月に世界中から8,000人ほどが集まる世界会議が開催されました。青年会議所所属メンバーは世界で16万人ほどいますし、経営者が多く所属しています。そこで青年会議所としてもSDGsを進めていこうと宣言されました。僕自身もそのときにSDGsを知りました。2018年には、僕は金沢青年会議所のSDGs推進室長に任命され、勉強や調査を進めていきました。

前川: SDGsを知ったときどう感じましたか?

河上: 「世界がついに僕の水準まで来たな」と感じました(笑)

前川: そうなのですね(笑)

河上: 起業当初から「誰もが挑戦できる社会を創る」ことが僕の幸せであり使命です。30歳のとき、残りの命を何に使うのかと考え、みんなが自分の可能性に挑戦できる社会を創ることができたら幸せだと思いコワーキングスペースを立ち上げました。このように以前は1世代上の人たちと話すときに「それって儲かるの?」と突っ込まれてしまうような社会課題の解決を目指すビジネスモデルは、今では主流となっています。なので、僕が先を行っていたというわけではないですが、僕がずっと思っていたことをストレートに発信して伝わる世の中になってきたと感じます。

前川: 世代によって感覚が全然違いますよね。僕も、今は社会全体が協調・共有・共感という感覚を賞賛するような流れになっているのを感じます。

SDGsは日本型経営の回帰

前川: 中小企業にとってできることは何でしょうか?自社にメリットがないと継続するのは難しいと思うのですが。

河上:SDGsを取り入れることです。SDGsは自社の利益追求だけではなく、社会や環境、ガバナンスと言った目に見えない価値を高めていきましょうという経営です。それは日本の中小企業に物凄く相性がいい、日本型の経営だと思っています。日本型の経営と言えば、近江商人の三方よしの精神「売り手良し、買い手良し、世間良し」ですし、渋沢栄一さんの言う「論語とそろばん」、つまり経済と企業の道徳・倫理は両輪でないといけないというもので、サプライチェーン全体の目に見えない利益まで追求するというものでした。ただ、その中に欧米型の株主資本主義が入り、利益を上げることが良いことで、それが優秀な経営者であるという考えが広がりました。しかし、短期的な利益追求だけをし、粉飾決算など色々な不正が起こっていきます。そのような流れがあり、今度は世界中で利益追求だけでは駄目だというSDGsの考え方に変化していったのです。なので、これは日本型経営の回帰と言えますよね。

前川: なるほど。具体的にはどのように取り組めばいいのでしょうか?

河上:企業活動の片隅でCSRのように取り組んだり、利益の一部を寄付しましょうというのではなく、事業の中に社会が良くなる仕組みを取り入れることです。ただそれは、全く新しいことをするということではなく、既に自社の事業活動・社会活動の中で社会や世界に役立っていることを探すということです。SDGsのゴールを理解し、自社でやっていることは何だろうと会社みんなで考えると、SDGsに近いものや当てはまるものが見えてきます。そして、そこにSDGsの概念を入れてブラッシュアップしたり再構築したりできないかと考えます。それを明文化して、私たちの会社はこの活動を通してこんなことに貢献しているというのを見せるのです。すると、今はメディアが注目してくれるという分かりやすい効果もありますが、何より従業員さんが幸せに働けるという物凄い効果があります。人は、こんなことに役立っているというのが見えると社会に役立つ喜びが見えてきます。幸せに働いている従業員さんとそうでない従業員さんでは、生産性が3割ほど違い、クリエイティビティに関しては3倍違うという研究結果もあります。なので、従業員さんが幸せに働ける状態を築けると、会社の業績も上がるのです。事業の成長自体で社会が良くなることとなり、経営者のやる気にもなります。お金持ちになりたいというモチベーションだけでは企業の成長は止まるのです。社会を良くするためにといった言わば「公欲」のようなものこそ、企業が成長するための大きなエネルギーとなります。本気でSDGsに取り組むと、一石二鳥どころか三鳥、四鳥あるものだと思います。

今後の取り組み

前川: 今後はどのようなことをされていきますか?

河上:今「SDGsジャーナル」というウェブサイトの作成に取り組んでいます。SDGsとは何かというところから分かりやすくお伝えすることと、色々な企業の取材を通して幸せに働いている人たちのことを発信しています。今後は企業の事業活動の中にSDGsを取り入れるコンサルティングをすることと、それが出来るコンサルタントを全国的に養成するための養成講座をしていきます。

前川: 分かりました。今日はありがとうございました。

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