人事異動に係るコスト
COLUMN

人事異動に係るコスト

日本企業では避けては通れない人事異動。

最近ではパソナが本社機能の一部を東京から淡路島に移すということで、1,200人を段階的に異動させるというニュースが話題となりました。

パソナに勤める従業員からするとまさに青天の霹靂だったと思います。

この距離がどれくらいなのかgoogle mapで調べてみました。

パソナ本社⇒パソナ淡路島オフィス

車 6時間50分
電車 4時間17分
飛行機 直行便なし

とてもじゃないが毎週戻ってこれるような距離ではない。そして周囲を取り巻く環境も大きく違うことが予想される。

東京に自宅を購入していた人だったら、家をどうしよう?

子どもがいる家庭だったら、子どもの学校は?そもそも今までと同じような学習環境は用意できるのだろうか?
配偶者が別の会社に勤めている人だったら、配偶者のキャリアはどうしよう?
色んなことが頭を巡るだろう。そして誰もが一旦考えるはず。

「会社辞めようかな」

これは極端な例かもしれませんが、同じような人事異動が日本では当たり前のように行われています。
それも就業規則に転勤させることがあると記載されているだけで、本人の合意はいらない。
こんな人事制度は、グローバルな視点から見ると、異様な制度に見えると思います。

このコストって誰が払っているのでしょう?

突然ですが、あなたの利き腕を10年間レンタルするとするならば、いくらでレンタルしますか?10年後には、必ずそのままの状態で利き腕は返ってきます。

①100万円
②1000万円
③1億円
④10億円
⑤いくら積まれても貸さない

決まりましたか?

 あなたが③の1億円を選んだとして、もしあなたが健康な腕を持っているとするならば、あなたは1億円の現金を持っているのと同じです。

このように目には見えないですが、人が生きるうえで持っている資産というのはお金だけではありません

転勤のせいで…

家が建てられない精神的なコストはいくら?
決まった友人と過ごせないコストはいくら?
信頼関係を築き上げた仕事上のパートナーをなくし、また1から構築するコストはいくら?
大切な家族と毎日過ごせなくなるコストはいくら?
自分のせいでキャリアを捨てることになる配偶者の失った賃金はいくら?

望まない転勤を命じるのであれば、会社は上記のコストを従業員に支払うべきです。

住宅手当や社宅を用意している?

会社はもちろんそれなりの対応をしていると主張するでしょう。ただ自分自身で考えてみてください。住宅手当や社宅だけで足りてますか?

テレビ会議ツール、チャットなどに代表されるコミュニケーションツール、ストレージサービス等が浸透することで、場所に捉われずに働くことが以前よりも容易になってきています。

そんな時代に転勤って本当に必要でしょうか?長期出張で対応はできませんか?

どうしても転勤せざるを得ない場合もあるでしょう。
その場合、従業員への処遇は、従業員が支払っているコストに見合っていますか?

法的に問題ないかどうかと従業員が働き続けたい会社かどうかは別問題です。
縁があって自社で働いてもらうことになったわけですから、どうせなら働き続けたい会社にしていきたいと私は思います。

WRITER

池田 知隆

人事コンサルタント

池田 知隆

Tomotaka Ikeda

2007年、富山大学経済学部卒業。2008年に社労士系コンサルティングファーム「ワールドワイド株式会社」に入社した後、計200社以上の企業の労務管理と人事制度構築に携わる。2019年に同社専務取締役に就任。人事部のない中小企業の人事参謀として、労務管理、採用支援、教育研修、人事制度等の側面から幅広く経営を支援している。

ワールドワイド株式会社 専務取締役

https://w-wide.site/

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