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不変の適応力
COLUMN

新時代と能

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650年続く伝統文化に見る本質

新型コロナウイルスの影響で世界が揺れています。経営をしていると、様々な危機に直面します。変化の激しい時代だからこそ、その中でも連綿で受け継がれている「伝統」に目を向けて見るのも大切なことではないでしょうか。


能が続いた秘訣
伝統的なものの一つに、「能」があります。その能を大成した観阿弥・世阿弥父子が残したもっとも有名な言葉が「初心忘るべからず」です。よく、この言葉はそれを始めたときの初々しい気持ちを忘れてはならないとという意味で使われますが、世阿弥はそのような意味では使っていなかったと言われます。安田登氏の「能~650年続いた仕掛けとは」から引用してみたいと思います。


初心の「初」という漢字は、「衣」偏と「刀」からできており、もとの意味は、「衣(布地)を刀(鋏)で裁つ」。すなわち「初」とは、まっさらな生地に、はじめて刀(鋏)を入れることを示し、「初心忘るべからず」とは、「折あるごとに古い自己を裁ち切り、新たな自己として生まれ変わらなければならない、そのことを忘れるな」という意味なのです。
(「能~650年続いた仕掛けとは」安田登著、新潮社、14ページより引用)


考えてみると、能は、とても長い間(安田氏曰く、650年間!)続いています。そして、安田氏は、能が650年も続いてきた理由は、「初心」と「伝統」にあると言われます。そして、実は、能には、大きな変化が4回もあり、その都度生まれ変わってきたというのです。世の中の変化に適応して能自体も変化したからこそ、今がある、ということなのでしょう。

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変化し続ける世で重要なこと
仮に新型コロナウイルスがなかったとしても、世の中は変わります。しかし、伝統というのは、「変わらない」ことではなく、「変わり続けていく」ことなのだと思います。考えてみれば、歴史をひもとくと、世の中の激変というのは何回もありました。そのたびに生き残っているのは、その変化に対応し、適応し、変化した企業です。トヨタを例にあげるまでもなく、昔と今と全く違うものを作っている企業もたくさんあります。


この変化し続ける世の中で生き残るのに必要なことは、まさに安田氏が言われるように、「折あるごとに古い自己を裁ち切り、新たな自己として生まれ変わらなければならない」ということなのだと思います。自身の本当の価値を追及し、見つめなおす。そういう機会ではないでしょうか。単純にテレワークをはじめるということではなく、働き方を見直すというものに止まらず、事業の価値自体を見つめ直す。
それでこそ、生き残ることができるのではないかと思います。法律事務所である弊所も同様。法律事務所、弁護の本質とは何か。改めて見つめ直し、生まれ変わるチャンスとしたいと思います。

WRITER

小倉 悠治

弁護士・経営心理士

小倉 悠治

Yuji Ogura

2004年、東京大学教育学部 卒業。2007年、慶應義塾大学大学院法務研究科 修了。2018年3月、小倉悠治法律事務所 開設。2018年4月~ 2019年3月、金沢弁護士会 副会長。
弁護士資格のみならず、経営心理士・キャッシュフローコーチの資格を有し、法務のみならず労務、財務も含め心理面まで見据えたサポートを得意とする。「社長の社外幹部」として企業の成長と発展に貢献。

小倉悠治法律事務所

https://ogura-kigyohoumu.com

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